たとえ鳥のように羽ばたけなくとも


05:情報社会だろうがなんだろうが、結局は自分の足で情報収集







が帰ってこない。

昼前に出たと言うのにもう時間は三時になろうとしている。
いくら何でも遅すぎると心配になった新八と神楽はすぐに大江戸ストアへと向かったが、もちろんそこにの姿は無い。
一体どこへ行ってしまったのか。
もしかしたら男たちに見つかってしまったのではないだろうかという新八の言葉に、神楽は迷子になっているだけかもしれないと
不安を振り払うかのように言うが残念ながら、新八の予想は当たっている。
人の行き来の激しい場所。それ故目撃情報もあるかと思ったが、絶えず人が流れる。
いつまでもその場に留まっている者などまず居はしない。



「とりあえず一度銀さんと合流しよう。もしかしたら銀さんが何か情報をつかんでるかもしれない」

「そうアルな。よし、定春! 銀ちゃんのところまで行くアル!!」

「ワン!」



神楽と新八を乗せた定春は、地鳴りにも似た足音をたてながら銀時の匂いを辿り走り出した。









「ん、銀時ではないか。このようなところで何をしている」

「ヅラこそ今日はここの客引きか? 毎度毎度指名手配犯だって言うのによく職が見つかるよなオメーは」

「ヅラじゃない、桂だ!」

「ところでよォ、こんくらいの身長でっつー子、見てねェ?」



桂の姿を見つけた銀時より先に声をかけてきたが、いつもの切り替えしには一切耳を貸さず
一方的に用件だけを聞く銀時に、それもいつもの事だと特に注意もせず「知らぬ」の一言で返した。
なんだかんだいいながらも桂は顔が広いし、攘夷活動をしている分天人の情報ももっている。
何より情報入手の手段となる仲間も多い。或いは、と思いを探す傍ら、桂の事も探していたが無駄だったようだ。
知らないならば良いと、踵を返したところだった。
ちょうど定春が猛スピードで銀時のほうへ向かってくるのが見えたが、そのあまりのスピードに二人は冷や汗をかく。
予想通り手前で止まるなどという配慮された行動などなく、見事に二人を突き飛ばして漸くその足は止まった。
もちろん地面に倒れ伏した銀時と桂に労わりの言葉ではなく、情報も何もないという報告だけだった。
起き上がって土埃を払うと、桂の仲間だろう。建物の影からボソボソと呼びかける声が聞こえる。



「どうした、まだ時間ではないはずだが・・・」

「いえ、それが少々気になる情報を仲間が掴みまして・・・」



建物の影に入り耳打で何かを伝える男の言葉に、静かに耳を傾ける桂をよそに
銀時達は男たちの行動範囲を手当たり次第聞き出して回るしか無いと、歩き出した所を桂に呼び止められる。
今はあまりのんびりしているわけにもいかないが、振り返り見た桂の表情は真剣そのものでそれに賭ける事にした。
どうやら仲間の持ってきた情報はを攫った者達のことだったらしい。
男たちが俗にいう武器ブローカーのような事もしている事は、銀時達も情報を集めているうちに自然と耳に入っていた。
それを利用して過激派攘夷志士たちも、昨今では強力な武器を手にするものも少なくない。桂たちはそれを阻止するべく、男たちの情報を集めていたらしい。
目的は違えど、目を光らせていた相手は同じだったのが幸いした。どうやらを攫ったことで何か動きがあったらしい。



「・・・おいヅラ、もしかしなくてもあいつらの居場所、知ってんのか?」

「銀時、今我々は派手に動くわけにはいかん。頼めるか」

「馬鹿言うな、誰がテメーの為に動くかよ。俺らは大切な依頼人を迎えに行くだけだ」

「そうアル。だからさっさと教えるヨ!」


桂は男たちの拠点を口頭のみで示せば、その場所の検討はすぐについたのだろう。
銀時達は定春に跨るとすぐにそこへ向かい走り出した。





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