夫婦丼 おまけ







朝の日差しが入る部屋で、今だ銀時は夢の中だった。
部屋に入って来たは、盛り上がった布団を見て呆れたように溜息をつく。
もうすっかり日は昇っていると言うのに、いい加減起きないかと言いながら布団を軽く捲れば、突然腕を掴まれる。


「あ、起きてました? おはようございます」

「おはよーさん・・・つーか、夫婦なのに布団別ってどうなの?」

「いいじゃないですか。どうせ昼間はくっついてくるんですから、寝る時ぐらい一人がいいです」

「あれ、なにそれ。なにそれ? さ、俺のプロポーズ受けたじゃん? なのにその仕打ち?」

「ほぼ詐欺ですよあんなの。まあ、いいんですけどね・・・」


いい加減起きてくださいといいながら、掴まれた腕を引っ張るがビクともしない。
それどころか、何かを考えたような顔つきになったあと、ニヤリと何かを企んでいるような笑みを浮かべた。
嫌な予感がすると思った矢先に突然腕を引っ張られたはそのまま布団の中に引き込まれる。


「あの・・・なんです?」

「二度寝に決まってんだろ」

「何普通に言ってんですか。駄目です、起きてください。神楽ちゃんだって早く掃除しちゃいたいっていってましたよ」

「毎日掃除しなくても大丈夫だって。それよりも、夫婦の時間を大切に、って!?」

「起きてください。ね?」


笑顔を浮かべながら銀時の顔面を鷲掴むと、冷や汗をたらして動きを止める銀時は、ただ頷く事しか出来ず静かに腕を離した。
素早く布団から出たが、朝食はもうできてるから早く着替えてきてくれと、さっさと部屋を出て行く。
閉った扉を見ながら、さすが一人旅を続けていただけはあると額に浮かんだ汗を拭い、布団から漸く起き上がった。





「あれ、。銀ちゃん起きたアルカ?」

「あ、うん、起きたよ。多分今着替えてるはずだから」

「じゃああとで掃除するネ。ところで、顔真っ赤だけど、どうしたアル?」

「え、あぁ、銀さんの部屋からここまで全力疾走しちゃったからね!」


何かまずい事でも指摘されたかのような慌てぶりに、はそれじゃあ、とその場から足早に立ち去ってしまう。
その後姿を見ながら、何で部屋から全力疾走したのかと、その真意は神楽にはわからなかった。






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